L×W×Hmm
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2010
ガムシ(牙虫)は、甲虫目ガムシ科(Hydrophilidae)の昆虫の総称。またはその中の大型種 Hydrophilus acuminatus Montschulsky, 1853 の和名。中国ではガムシのことを「水亀虫」と書く。学名のHydrophilus acuminatusは、「Hydro-」はラテン語で「水」、「-philus」は「を愛するもの」、「acuminatus」は「尖った」を意味する「acuminate」から派生している。
ガムシ類は一般的に沼や池など小さな止水系に住む水生昆虫で、外観からゲンゴロウ類と混同されることがしばしばあるが、系統的には遠く、エンマムシ類と近縁のグループである。
体長は33~40mm。日本で最大のガムシ科甲虫。体は黒色。背面は膨隆し、光沢がある。
ガムシ亜族(大型種)では胸部下に後方に向かって、1つの尖った突起があり、これを獣の牙に例えて、牙虫と呼ぶようになったと言われる。
この牙は空気をより多く溜める上で表面張力を利用したものではないかと考えている。
ゲンゴロウ類同様、付属肢には水かきの役割をする細毛が発達するが、付属肢、特に後肢の形態はゲンゴロウ類ほど特殊化が進んでいないため、ゲンゴロウほど流麗な遊泳は行わず、どの種類もまるで水中で体を小刻みに震わせながら早く歩くといった感じの遊泳方法である。この愛くるしい遊泳法が本種の人気の一つでもある。
水中での呼吸に必要な空気の大半は上翅と腹部の間の空隙に蓄えられるが、表面張力によって体の腹面に密生した細毛の間にも保持される。上翅の下の空気の塊と、腹面に保持された空気の塊は腹部の両脇越しに連結しており、呼吸によってこの空気塊の酸素が消費され、二酸化炭素が増加すると、水に広い面積で接した腹面の空気塊から水中への二酸化炭素の溶出と水中の溶存酸素の空気塊への拡散が起こると考えられる。こうして保持した空気の中の酸素が不足してくると、ガムシ類の成虫は水面に浮上し、頭部の側面を水面に接する。頭部にある、「くの字」状で先端に球桿がある1対の触角は、水中では水中に突き出されることはなく、腹面の空気塊の中に折りたたまれているが、この時になると頭部の水面に接した側の側面の触角を空気塊をまとわりつかせたまま伸ばし、腹面の空気塊を水面上の空気と連結させる。するとすかさず腹部をポンプのように動かして上翅の下に蓄えられた空気を出し入れして、体に保持した空気を入れ替えることによって水中での遊泳を可能にする。
また、ゲンゴロウと同じように飛翔力を持ち、夜間、灯火に飛来することがある。
本作品は頭、胸部、腹部、各脚に加え大顎が可動する。体色は硫化で表現した。モチーフであるガムシがとっかかりの無い本当になめらかな背中をしているため、観察時にかなり持ちにくいという、他のモチーフでは起きなかった難所があった作品である。